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コピルアックの生息地である熱帯雨林の風景と、野生のコピルアック猫が木の上に立ち、コーヒー豆とコーヒーチェリーが自然の中に広がる様子を描いた詳細な自然風景写真。

コピルアック第4弾 本物のコピルアックは見分けられる?

高価なコーヒーだからこそ考えたい科学的判別と産地の追跡

「そのコピルアックは、本物ですか?」

世界でもっとも希少なコーヒーの一つとして知られるコピルアックには、いつもこの疑問がついて回ります。価格が高く、外見だけでは普通の生豆と区別しにくいためです。袋に「Kopi Luwak」「Wild」と書かれていても、それだけで産地や採取方法まで証明できるわけではありません。

結論から言えば、見た目や香りだけで本物を断定することは困難です。一方、研究の世界では、豆に残る複数の化学成分を組み合わせて判別する方法が開発されています。ただし、誰でも利用できる世界共通の鑑定制度が完成しているわけではありません。だからこそ0566珈琲製作所は、分析だけでなく「どこで、誰が採取し、どのルートで届いたか」を重視しています。

そもそも何をもって本物と呼ぶのか

コピルアックとは、ルアックと呼ばれるジャコウネコの仲間がコーヒーチェリーを食べ、その消化管を通過した種子を回収し、洗浄・乾燥・脱殻して作るコーヒーです。コーヒーの品種名ではありません。アラビカでもロブスタでも、産地や品種、精製方法が違っても、ルアックの体内を通過したという生産過程を指す名称です。

そのため「本物」には少なくとも二つの意味があります。一つは、本当にルアックの消化管を通過した豆なのかという生物学的な真正性。もう一つは、表示されている産地、野生採取か飼育生産か、品種や精製などの情報が正しいかという流通上の真正性です。前者が確認できても、後者まで自動的に証明されるわけではありません。

外見や味だけで判別できるのか

経験のある生産者や焙煎士は、パーチメントの状態、豆の色や形、香りなどから違和感を見つけることがあります。しかし、それは鑑定というより、経験に基づく確認です。通常のコーヒーも発酵、乾燥、保管によって外観や香味が変わるため、見た目だけで「本物」「偽物」を決めるのは危険です。

カップの味も同じです。一般にコピルアックは、丸み、独特の甘い香り、穏やかな苦味などで語られますが、味は品種、標高、完熟度、乾燥、保管、焙煎にも左右されます。「この香りがするから本物」とは言い切れません。

豆に残る化学的な指紋を探す研究

2013年に発表された研究では、3つの栽培地域から集めたアラビカとカネフォラ種を含む21試料をGC-MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)で調べ、多変量解析を行いました。その結果、クエン酸、リンゴ酸、そしてイノシトールとピログルタミン酸の比率が、判別に利用できる候補として選ばれました。研究では、真正試料、偽装試料、通常のコーヒー、コピルアックを50%含むブレンドを区別できる可能性が示されています。

2015年には、より一般的なGC-FIDという分析装置と統計解析を組み合わせ、通常豆、コピルアック、50%ブレンドを区別する研究が報告されました。さらに2016年の研究では、コピルアックと通常豆を11段階の比率で混ぜた試料を作り、含有割合を推定するモデルが検討されています。

ポイントは、たった一つの成分を見るのではなく、複数の成分の組み合わせを「化学的な指紋」として読むことです。コピルアックらしさを一成分だけで証明するのではなく、全体のパターンで判別します。

科学的分析にも限界がある

これらは重要な研究ですが、「どんな国の、どんな品種の、どんな精製の豆でも100%判別できる」という意味ではありません。研究モデルは、使用した試料と条件に基づいて作られます。産地、品種、収穫年、乾燥、保管が変われば、成分の構成も変化します。新しい産地やロットに適用するには、十分な標準試料と追加検証が必要です。

また、化学分析でルアック通過の可能性が高いと分かっても、その豆が野生のルアックから採取されたのか、檻の中で給餌されたものなのかまでは、通常の成分分析だけでは判断できません。商品の背景を知るには、流通経路の確認が欠かせません。

0566が直接輸入にこだわる理由

0566珈琲製作所が扱うのは、北スマトラ・トバ湖周辺で採取されるワイルドルアックです。私は現地へ入り、HENGKYさんとともに採取地を訪ね、ジャングルを歩き、現地スタッフと関係を作りながら直接輸入のルートを築いてきました。

これは「現地へ行った」という物語を飾るためではありません。仕入れ先の顔が見え、採取地域と処理工程を確認でき、疑問があれば直接聞ける状態を作るためです。高価な商品だからこそ、販売者が説明できる範囲を広げる必要があります。

0566のコピルアックでは、北スマトラ・トバ湖北西部、標高約1,300〜1,600m、周辺小農家のコーヒーという背景を示しています。天然採取のため品種を一つに断定せず、LINI.S、ブルボン、カルティカ、S795などが含まれる可能性がある混合ロットとして説明しています。分からない部分を無理に一品種へ決めないことも、真正性の一部だと考えています。

購入前に確認したい六つの項目

コピルアックを選ぶときは、価格や豪華な箱だけでなく、次の点を確認してみてください。

1. 採取国と地域が具体的に示されているか
2. 野生採取か飼育生産かが説明されているか
3. アラビカかロブスタか、分かる範囲で品種情報があるか
4. 洗浄、乾燥、精製の方法が説明されているか
5. 輸入者・焙煎者が仕入れ経路を把握しているか
6. 不明な点を尋ねたとき、販売者が具体的に答えられるか

本物かどうかは、ラベルの一語では決まりません。科学的な分析、産地情報、人と人との取引記録。その三つが重なって、初めて信頼できる一杯に近づきます。

まとめ

本物のコピルアックを、家庭で外見や味だけから完全に見分けることはできません。一方、研究では複数の代謝物を利用した判別や、ブレンド中の含有割合を推定する方法が示されています。

しかし、科学的判別だけで野生採取や産地まで証明できるわけではありません。だから0566珈琲製作所は、現地へ行き、採取者とつながり、自分たちで説明できる輸入ルートを作りました。コピルアックの価値は、希少という言葉だけでなく、その一杯がどこから来たかをたどれることにあると考えています。

参考資料

・Jumhawan U, et al. Selection of discriminant markers for authentication of Asian palm civet coffee (Kopi Luwak): a metabolomics approach. Journal of Agricultural and Food Chemistry. 2013;61(33):7994-8001. https://doi.org/10.1021/jf401819s

・Jumhawan U, et al. Application of gas chromatography/flame ionization detector-based metabolite fingerprinting for authentication of Asian palm civet coffee (Kopi Luwak). Journal of Bioscience and Bioengineering. 2015;120(5):555-561. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25912451/

・Jumhawan U, et al. Quantification of coffee blends for authentication of Asian palm civet coffee (Kopi Luwak) via metabolomics: A proof of concept. Journal of Bioscience and Bioengineering. 2016;122(1):79-84. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26777237/

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